黒クマを改善させる手術
目の下のクマには、黒クマ・紫クマ・茶クマの3種類があります。
眼球の周りにある眼窩脂肪が飛び出してくることによって作られる影が黒クマの原因です。
頭蓋顔面骨において、眼球がおさまっている窪みを眼窩と言います。眼窩の中で、眼球を保護するように包み込んでいるのが眼窩脂肪です。
生まれつきの個人差もありますが、加齢とともに目周りの組織が緩んでくると、眼窩脂肪が前へせり出してきます。前に飛び出してきた眼窩脂肪によって、下まぶたに作られる影が黒グマです。
黒クマ(影クマ)を改善させたい場合には、飛び出している眼窩脂肪を手術で切り取るか、あるいは眼窩脂肪の位置をずらして固定する必要があります。
眼窩脂肪を切り取る手術が【脱脂法】であり、眼窩脂肪の位置をずらして固定する手術が【ハムラ法】です。
こちらのページでは、それぞれの手術方法について解説します。
脱脂法とは?
脱脂法の正式名称は、【経結膜脱脂法(transconjunctival fat removal)】です。
多くの美容クリニックにて、脱脂法は「切らないクマとり」と表現されるようですが、それは少し誤解を与える表現かなと思います。
確かに、脱脂法では皮膚表面は切らないのですが、どこか入り口がないと眼窩脂肪を引っ張り出すことができないため、裏まぶたの結膜(まぶたをめくると見える赤い部分)を切開して行われます。
裏まぶたを切開すると、3つの区画に分かれた眼窩脂肪が見えますので、各区画ごとに脂肪を引っ張り出してカットします。
内側(鼻寄り) | medial fat pad もしくは nasal fat pad |
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中央 | central fat pad もしくは middle fat pad |
外側(耳寄り) | lateral fat pad もしくは temporal fat pad |
脱脂法のメリットは、眼窩脂肪を引っ張り出してカットするだけなので、短時間で手術が終了することです。
そのため、後述するハムラ法と比べて手術費用が安く、またダウンタイムが短いケースが多いです。
逆に脱脂法のデメリットは、十分にトレーニングした医師が担当する場合でも、適量の脂肪をとることが難しい点です。取り除く脂肪の量が少なければクマが残ってしまいます。逆に取り除く脂肪の量が多ければ、窪み目(hollow eyes)になったり、皮膚のたるみが残ったりしてしまいます。
裏ハムラ法とは?
ハムラとは羽村ではなく、この手術の考案者である米国の Dr. Hamra です。
Dr. Hamra が1995年に考案した方法は、下まぶたの皮膚表面を切開して行われる方法(いわゆる表ハムラ)であったため、皮膚ではなく裏まぶたを切開して行う方法を裏ハムラ法(transconjunctival fat reposition)と呼び、最近では裏ハムラ法が主流となっています。
そのため、このページでは以降、裏ハムラ法について説明します。
裏ハムラ法では眼窩脂肪を切り取らずに、眼窩頬部靭帯(ORL;orbicularis retaining ligament)を剥離してスペースを作ってから、剥離したスペース内に眼窩脂肪を敷き込むように移動させて固定(再配置 reposition)します。
ただ靭帯を剥離するだけでは、月日とともに再び癒着して復元してしまうため、靭帯が復元(癒着)しづらいように、剥離したスペースに眼窩脂肪を敷き込んで、元に戻らづらいようにします。
裏ハムラ法のメリットは、脂肪を切り取らずに再配置するので、脱脂法と比べて術後の窪み目(hollow eyes)が出現しづらい点です。また靭帯を剥離して無効化するため、脱脂法と比べて再発しづらい点です。
デメリットは、脱脂法と比べると操作が増えるため、手術時間やダウンタイムが長くなりやすい点です。脱脂法と比べると、手術費用もかかります。
脱脂法と裏ハムラ法の違い
脱脂法(いわゆる「切らないクマとり」)と裏ハムラ法の違いは何でしょうか?
皮膚を切らないこと、でしょうか?
いいえ、どちらの手術も皮膚は切らずに、裏まぶたの結膜(まぶたをめくると見える赤い部分)を切開して行われます。
それでは何が違うかと言うと、英語の手術名をご覧いただくと分かりますが、眼窩脂肪の処置方法が異なります。
脱脂法は結膜から(transconjunctival)眼窩脂肪を除去(removal)する手術であり、裏ハムラ法は結膜から(transconjunctival)眼窩脂肪を再配置(reposition)する手術です。
除去(removal)とはハサミで切り取って取り除くことで、再配置(reposition)とは切りとらずに位置をずらして固定することです。
また、脱脂法では眼窩頬部靭帯(ORL;orbicularis retaining ligament)を無効化できませんが、裏ハムラ法ではORLを無効化できます。
手術方法 | 脂肪の処置方法 | ORLの無効化 |
---|---|---|
脱脂法 | 除去 (removal) =ハサミで切り取る | できない |
裏ハムラ法 | 再配置 (reposition) =切り取らずに位置をずらす | できる |
裏ハムラ法(transconjunctival fat reposition)では、眼窩脂肪を切り取らずシート状に加工して、剥離した眼窩頬部靭帯(ORL)の裏側にずらし込むように固定(reposition)します。
このような操作をORLの無効化と言いますが、裏ハムラ法ではORLを無効化することによって、クマ消し効果が高くなり、かつ再発予防効果も高くなることがメリットです。
また、裏ハムラ法では眼窩脂肪を切り取らないため、術後に窪み目(hollow eyes)になる可能性も低くなるメリットがあります。
そのぶん、裏ハムラ法は脱脂法と比べると、手術費用が高くなり、ダウンタイムも長くなるデメリットがあります。
脱脂法 | 裏ハムラ法 | |
---|---|---|
メリット | 手術費用が安い ダウンタイムが少ない | 再発しづらい 窪み目になりにくい |
デメリット | 再発しやすい 窪み目のリスク | 手術費用が高い ダウンタイムが長い |
銀座フェイスクリニック院長の奥田です😀
私(奥田)は、医師になって23年目、銀座フェイスクリニックを開設してから9年目で、普段は難易度の高い骨格手術などを手がけていますから、美容外科医としての経験を積んでいる方だと思います。
しかし、そのような私の視点から見ても、脱脂法にて「適量」の脂肪を除去することは、実に難しいことだと思います。
実際に、一昔前のクマとり手術ブーム下で他院で脱脂法を受けて、数ヶ月〜数年後に窪み目(hollow eys)がお悩みになっている方は、少なくありません。
窪み目になってしまった場合は、皮下脂肪ではなく眼窩脂肪の減少が原因ですから、脂肪注入などおこなってもリカバリーが困難です。
そのため当院では、基本的には脂肪を取り除かずに再配置する裏ハムラ法を推奨しています。
脱脂法と裏ハムラ法の違いについて、詳しくはお気軽にお問い合わせください。
クマとり手術の費用
脱脂法 | 500,000円 (550,000円) |
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裏ハムラ法 | 700,000円 (770,000円) |
表ハムラ法 | 800,000円 (880,000円) |
静脈麻酔 (推奨) | 50,000円 (55,000円) |
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