まず、技術的な話として、なぜ骨切り手術後にたるみが生じるのかについて説明します。
主な理由は2つあります。
① 骨を切るために、周囲の組織を剥離する必要があること。
② 骨格が小さくなることによって、皮膚・脂肪・筋肉などの軟部組織が相対的に余ってしまうこと。
それでは、骨切り手術後のたるみを減らすために、執刀医はどのようなことを心がければよいのでしょうか?
① 組織の剥離を必要最小限にする
まず大切なのは、組織の剥離を必要最小限にとどめることです。
ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、とにかく剥離範囲を狭くすればよいというわけではないことです。
あくまでも「必要最小限」にすることが重要です。
いくらたるみを減らしたいからといって、手術の安全性や仕上がりのクオリティが損なわれてしまっては本末転倒です。
安全に手術を行い、十分な視野を確保しながら、必要以上の組織損傷を避けることが大切です。
② 剥離した組織を適切に修復・固定する
剥離した組織は、最後に傷を閉じる際、単に皮膚や粘膜の表面を縫い合わせればよいというものではありません。
骨膜や筋層などを適切に縫合・修復し、必要に応じて骨と軟部組織を固定するなど、術式や解剖学的な条件に応じた工夫が重要になります。
こうした操作によって、組織の位置や支持を適切に保ち、術後のたるみを抑えることを目指します。
③ 骨を切りすぎない・動かしすぎない
軟部組織の相対的な余りを抑えるために、もうひとつ重要なのが「骨を切りすぎないこと」「骨を動かしすぎないこと」です。
骨は、切れば切るほど輪郭がきれいになるわけではありません。
骨格を小さくしすぎると、その上にある軟部組織が余ってしまい、せっかく骨を切っても輪郭がすっきりせず、たるみやぽっちゃり感が目立ってしまうことがあります。
つまり、「骨は切ったけれど、輪郭はきれいにならなかった」という結果にもなりかねないのです。
例えば、エラの手術であれば、単に骨を切り取る範囲を大きくすることだけを目指すのではなく、骨格を小さくすることによるメリットと、軟部組織が余ることによるデメリットのバランスを考えなければなりません。
骨をどれだけ切るかだけではなく、どこを、どの程度切れば、最終的に美しい輪郭になるのか。
そこを見極めることが、執刀医に求められる重要な判断のひとつです。
④ 頬骨の手術では、骨癒合も考慮する
特に注意が必要なのが、頬骨の手術です。
頬骨を過度に切除・移動すると、骨片同士の接触が不十分になり、骨癒合に不利な条件が生じることがあります。
骨片同士の接触が不十分な状態では、固定方法にも制約が生じ、骨片の位置を安定して維持することが難しくなる場合があります。
その結果、骨片の位置異常や下垂などが生じれば、輪郭の仕上がりにも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、骨格の縮小によって軟部組織が余ることも、術後のたるみや頬のぽっちゃり感につながる要因のひとつです。
ですから、頬骨の手術では、単に骨を大きく切り取るのではなく、十分な縮小効果と、骨片の安定性・骨癒合の両立を目指すことが大切です。
⑤ 必要に応じて、軟部組織へのアプローチも検討する
骨格を小さくした際に、皮膚・脂肪・筋肉などの軟部組織がどのように変化するかも、術前に考えておく必要があります。
特に、皮下脂肪の量や分布によっては、骨切り手術だけでは十分にすっきりとした輪郭が得られないこともあります。
そのような場合には、患者様の状態や希望に応じて、脂肪吸引などを併用することも選択肢になります。
また、症例によっては糸リフトなどの併用を検討することもあります。
ただし、これらの施術をすべての患者様に行えばよいというわけではありません。それぞれの適応や効果、リスクを考慮したうえで、必要な施術を選択することが大切です。
まとめ|執刀医の技術と判断が重要
ここまでご説明した内容は、基本的に患者様ご自身でコントロールできるものではなく、執刀医の技術や判断に委ねられる部分です。
そのため、骨切り手術をご検討なさっている患者様においては、単に「どれだけ骨を小さくできるか」だけではなく、組織の剥離や修復、骨の切除量、骨片の移動量、骨癒合、そして軟部組織とのバランスまで考慮して手術を行ってくれる執刀医を探すことが大切なのではないかと思います。
今回は「執刀医が心がけること」という視点から、骨切り手術後のたるみを減らすためのポイントについてお話ししました。
後日、「患者様が心がけること」という視点からの記事も書こうと思います。
骨切り手術をご検討なさっている患者様の参考になれば幸いです。
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