🔍 頬骨形成(zygoma reduction)の側方固定について
頬骨形成術では、
- 前方(頬骨体部)を骨切りし、
- 側方(頬骨弓の後方・側頭筋付近)を骨切りして内側移動する
という二点骨切り(アーチインフラクチャー法)が一般的です。
このとき、側方部(頬骨弓)をどのように「側方固定」するかによって、長期的な安定性や快適さに差が出る場合があります。
今回は、頬骨手術の側方固定法および「側方プレート固定後の違和感」について、医学的な観点から解説いたします。
■ 頬骨形成における側方固定法とは?
頬骨形成術では、「側方(頬骨弓)」の骨切り部を
- チタンプレート固定法
- インターロッキング法
のどちらで固定するかが、術後の骨癒合や長期的な安定に大きく関係します。
⚙️ 1. チタンプレート固定法の特徴
金属(主にチタン)プレートで頬骨弓を固定する方法は、
手術中に位置を確実に保持できるため、即時的な安定性が高いのが利点です。
しかし、頬骨弓(側方部)の骨片は薄く血流が少ないため、
プレートで「点」で支えると骨どうしの接触面が減ってしまい、
**骨がつきにくくなる(骨癒合不全)**場合があります。
また、プレートが強固すぎると、骨に加わる生理的な圧力(荷重)が減少し、
いわゆる 「stress shielding(ストレス遮断)」 が起こることも知られています。
これにより、長期的に骨が痩せたり、プレート周囲が微細に動くことで、
違和感や咬筋の緊張、顎関節の不快感につながるケースもあります。
✅ 利点
- 手術時に位置を確実に固定できる(即時安定性が高い)
- 手技が比較的容易(位置合わせの誤差が少ない)
⚠️ 欠点
- プレートと骨の間に**わずかな隙間(interposition gap)**が生じやすく、
→ 骨接触面積が減る
→ 骨癒合が妨げられる(特に後方の弓部では血流が乏しい) - プレートが荷重を「肩代わり」してしまい、
→ 骨同士に圧縮応力がかからず、骨癒合刺激が減る(=stress shielding) - 長期的に、偽関節・微動による筋痛や違和感の温床になることがある
- 頬骨弓後方は薄く、プレート固定位置が限られるため、
→ 固定力が不十分 or 過剰(変形リスク)になることも
🔩 2. インターロッキング(骨同士の噛み合わせ)法の特徴
一方で、骨どうしを「噛み合わせる」ようにして頬骨弓を側方固定する方法をインターロッキング法といいます。
銀座フェイスクリニックでは、このインターロックによる側方固定を採用することがほとんどです。

この方法では、頬骨弓の骨片をぴったり合わせ、
骨面同士が直接接触・圧迫されるように固定します。
- 骨の接触面積が広がる
- 骨に自然な応力が伝わる
- 骨癒合が促進される
といった生理的なメリットがあります。
その結果、プレートに頼らなくても安定が得られやすく、
長期的な違和感や微動のリスクが減ると考えられています。
✅ 利点
- 骨同士が直接接触・圧迫されることで、**一次骨癒合(primary bone healing)**が促される
- プレートに頼らず、骨自体で安定するため、
→ 術後の応力分布が自然で、筋・関節への影響が少ない - 長期的に「可動性が残る」「筋痛が出る」といったリスクが低い
⚠️ 欠点
- 正確な三次元的骨整復が必要で、熟練した外科技術を要する
- 骨片の接触が不十分な場合、逆に安定性が低下するリスクもある
🧠 3. 生体力学的な比較(要点)
| 項目 | プレート固定 | インターロッキング固定 |
|---|---|---|
| 初期固定の安定性 | 高い(即時的) | 骨接触が良好なら高い |
| 骨癒合の促進 | 抑制される傾向(stress shielding) | 促進される(生理的応力) |
| 長期的問題(偽関節・疼痛) | 起こりやすい | 起こりにくい |
| 手術難易度 | 比較的容易 | 高い(位置合わせがシビア) |
■ 手術から年数が経って違和感が出た場合
頬骨骨切りの「側方プレート固定」を行ったあと、術後数年〜十数年経ってから
・頬の奥のだるさ
・咬筋(こうきん)のこわばり
・顎関節付近(耳のあたり)の痛み
などの症状を感じる患者さまがいらっしゃいます。
このような場合、側方固定に使用したプレート周囲の骨が完全に癒合していない(偽関節)ケースが、まれに見られます。
顎関節症が併発していることもあるため、慎重な診断が必要ですが、プレートが原因となっている場合には、抜去(除去)によって症状が改善することがあります。
■ どちらが「良い・悪い」ではなく、「適切な固定を選ぶこと」が大切
ここで強調したいのは、
「プレート固定が悪い」「インターロック固定が絶対に良い」
という単純な話ではないということです。
患者さまの骨の形状や厚み、移動量、希望する仕上がりなどによって、
最適な固定法を選ぶことが大切です。
■ まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| プレート固定 | 即時安定性が高いが、骨癒合が遅れる場合がある |
| インターロック固定 | 骨接触が良く、長期的に安定しやすい |
| 適切な選択 | 骨形態・移動量・目的により最適な方法を選ぶことが重要 |
| 術後違和感 | 骨癒合不全やプレートの微動が関与することもある |
| 対応 | CT・機能評価に基づき、必要に応じて除去や再固定を検討 |
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