骨切り手術を受ける患者さまから、
「手術後は何を食べればいいですか?」
と聞かれることがあります。
特に上下顎セットバックや下顎・オトガイなど、口の中に傷ができる手術の後は、腫れや痛み、口の開けにくさなどによって、普段のような食事をすることが難しくなります。
そのため、私は手術前に、
「術後3日分くらいの食べやすいものを、あらかじめ用意しておいてください」
とお伝えしています。
とはいっても、
「そこまで準備していなかった……」
ということもありますよね。
そんなときに便利なのが、実はコンビニです。
今回は、骨切り手術後の食事として、コンビニなどで手軽に購入できるものをご紹介します。
骨切り手術後は「噛まなくても食べられるもの」を
骨切り手術直後は、口の中に傷があったり、腫れや痛みがあったりするため、できるだけ口を大きく動かしたり、強く噛んだりする必要のないものがおすすめです。
代表的なのは、
- おかゆ
- スープ
- ゼリー
- プリン
- ヨーグルト
- 茶碗蒸し
- ペースト状の食品
などです。
術後の食事は、「栄養バランスのよい完璧な食事を作らなければ」と考えすぎる必要はありません。
まずは、
「無理なく口にできるものを、少しずつ食べる」
ことを優先してください。
そのうえで、状態が落ち着いてきたら、少しずつ食べられるものを増やしていけばよいでしょう。
手術前に3日分くらい準備しておくと安心
私がおすすめしているのは、手術前に術後3日分くらいの食べやすい食品を準備しておくことです。
市販の介護食や離乳食などにも、やわらかくて食べやすい食品がたくさんあります。
白がゆ、スープ、ゼリー、プリン、茶碗蒸しなどを組み合わせて、術後の食事を準備しておくと安心です。
特に最初の数日は、「噛まなくても食べられる」ということを基準に選んでおくとよいでしょう。
準備を忘れたら、コンビニへ
もし手術前に食事の準備を忘れてしまった場合、私はコンビニで、
「白がゆ+茶碗蒸し+プリン」
を購入することをおすすめします。
この3つは、それぞれ役割が違います。
① 白がゆ
まずは主食として白がゆ。
ほとんど噛まずに食べることができ、炭水化物からエネルギーを補給できます。
術後は食事量そのものが少なくなりがちなので、まずは「食べられるものを食べる」という意味でも、おかゆは非常に便利です。
味付けが濃すぎないものを選ぶとよいでしょう。
② 茶碗蒸し
そして、意外とおすすめなのが茶碗蒸しです。
茶碗蒸しは卵を使っているため、たんぱく質を摂ることができます。
また、やわらかく、ほとんど噛まずに食べられるのも大きなメリットです。
特に術後早期は、鶏肉、しいたけ、銀杏、かまぼこなどの具材が入っている場合、無理に食べる必要はありません。
具材を避けて、卵の部分を食べるだけでも大丈夫です。
自宅で「具なし茶碗蒸し」を作る必要もありません。
コンビニなどで販売されている普通の茶碗蒸しを利用すれば大丈夫です。
③ プリン
プリンも術後には食べやすい食品です。
やわらかく、ほとんど噛む必要がありません。
また、ヨーグルトのような酸味がないため、口の中の傷にしみるのが気になる方にも比較的食べやすい食品です。
もちろん、プリンだけで栄養を十分に補えるわけではありません。
しかし、術後早期に「何も食べられない」という状態を避けるための食品としては、とても便利です。
ヨーグルトでもいいの?
もちろん、ヨーグルトも食べやすい食品です。
ただし、術後の口の中の状態によっては、
「ヨーグルトがしみる」
ということがあります。
ヨーグルトには乳酸などの酸が含まれているため、口の中の傷に触れることで、刺激を感じる患者さまもいます。
そのため、
「ヨーグルトは食べられるけれど、ちょっとしみる」
という場合には、無理にヨーグルトを食べる必要はありません。
そのようなときは、茶碗蒸しやプリンなどに替えてみてください。
食べ物は「熱すぎない」ことも大切
術後の食事では、もうひとつ注意してほしいことがあります。
それは、
「熱いものをそのまま口に入れない」
ということです。
骨切り手術の後は、口の中や唇の感覚が鈍くなっていることがあります。
特に下顎やオトガイの手術後には、下口唇やオトガイ周囲の感覚が鈍くなることがあります。
下顎の骨切りを伴う顎の手術後には、下口唇の感覚異常が生じることが知られています。
そのため、
「いつもの感覚で熱さを判断しない」
ことが大切です。
熱さを感じにくい状態で熱い食べ物を口にすると、気づかないうちに口の中をやけどしてしまう可能性があります。
実際に、顎や口の手術後の注意事項として、感覚が鈍くなっている間は熱い飲食物を避けるよう案内されています。
どのくらいまで冷ませばいい?
では、どのくらいまで冷ませばよいのでしょうか。
私は患者さまには、ひとつの目安として、
「指を入れても大丈夫そうなくらいまで冷ましてください」
とお伝えしています。
もちろん、本当に指を入れて確認する必要はありません。
「これ、指を入れたら熱そうだな」
と思ううちは、もう少し冷ましてください。
白がゆや茶碗蒸しなどは、出来たての状態ではかなり熱いことがあります。
少し時間を置いて、十分に冷ましてから食べるようにしてください。
「唇に当てて温度を確認」はおすすめしません
普段なら、
「ちょっと熱そうだから、唇に当ててみよう」
ということもあると思います。
しかし、骨切り手術後には、この方法はおすすめしません。
特に下顎やオトガイの手術後は、下口唇の感覚が鈍くなっていることがあるからです。
そのため、
「唇に当ててみて熱くなさそうだから大丈夫」
とは限りません。
熱さを感じにくい状態で熱い食べ物を口にすると、気づかないうちに口の中をやけどしてしまう可能性があります。
術後は、唇の感覚だけを頼りにせず、十分に冷ましてから口にするようにしてください。
最初の数日は「食べられるもの」で大丈夫
手術直後は、
「ちゃんと栄養を摂らなければ」
と焦ってしまう方もいるかもしれません。
もちろん、術後の回復のためには栄養を摂ることが大切です。
しかし、手術直後から普段と同じような食事をする必要はありません。
まずは、
- 噛まなくても食べられる
- 口の中を刺激しにくい
- 熱すぎない
- 無理なく食べられる
ということを優先してください。
そして、腫れや痛みが落ち着いてきたら、少しずつ食べられる食品を増やしていけば大丈夫です。
もし準備を忘れてしまったら……
そんなときは、難しく考える必要はありません。
コンビニに行って、
白がゆ
+
茶碗蒸し
+
プリン
を買ってみてください。
これだけでも、術後早期の食事としてかなり使いやすい組み合わせです。
もちろん、手術の種類や術後の状態によって、食事を開始する時期や食べてよいものは異なります。
最終的には、手術を担当した医師の指示を優先してください。
「何を食べればいいのかわからない」と不安になるよりも、
「今の自分が無理なく食べられるものを、少しずつ」
と考えていただければよいと思います。
骨切り手術を受ける予定の方は、手術そのものだけでなく、術後の食事についても少しだけ準備しておくと、術後の生活がずっと楽になります。
まとめ
骨切り手術後は、口の中の傷や腫れ、痛みなどによって、普段の食事が難しくなることがあります。
そのため、手術前に3日分程度の食べやすい食品を準備しておくと安心です。
もし準備を忘れてしまった場合には、コンビニで購入できる、
「白がゆ+茶碗蒸し+プリン」
という組み合わせが便利です。
また、術後は口の中や唇の感覚が鈍くなっていることがあるため、熱いものには注意してください。
特に下顎やオトガイの手術後は、下口唇の感覚が鈍くなることがあります。
「唇に当てて熱くないから大丈夫」と判断せず、十分に冷ましてから食べるようにしましょう。
術後の食事は、無理をして普段通りに戻す必要はありません。
「食べられるものを、少しずつ」
これくらいの気持ちで、焦らず回復していきましょう。
なお、実際の食事内容や食事開始のタイミングについては、手術の内容や術後の状態によって異なりますので、担当医の指示に従ってください。
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